「ペット向けの商品にヤギミルクを使いたいのですが、全脂と脱脂は何が違うのでしょうか?」
ヤギミルクを使った商品開発のご相談で、よく聞かれる質問のひとつです。
「全脂」「脱脂」と聞いても、初めて扱う方にとっては、どちらを選べばいいのか分かりにくいかもしれません。
違いをとても簡単にいうと、
全脂タイプ=ヤギ乳の脂肪分を含んだもの
脱脂タイプ=ヤギ乳から脂肪分を取り除いたもの
です。
ただし、商品開発では「脂肪分が入っているかどうか」だけでなく、風味や栄養設計、保存性、作りたい商品のコンセプトなども選ぶポイントになります。
今回は、ヤギミルクパウダーの全脂タイプと脱脂タイプの違いを、商品開発の視点から分かりやすくご紹介します。
そもそもヤギミルクパウダーとは?
ヤギミルクパウダーは、ヤギの乳を粉末状に加工した食品原料です。
日本では牛乳ほど身近ではありませんが、海外ではヤギ乳を原料とした育児用粉乳なども流通しています。
また、人向けの食品だけでなく、ペットフードやペット用サプリメントなどの商品開発にも利用されています。
そんなヤギミルクパウダーを選ぶときに知っておきたいのが、「全脂」と「脱脂」の違いです。
全脂と脱脂、一番大きな違いは「脂肪分」
まずは難しく考えず、牛乳をイメージすると分かりやすいかもしれません。
全脂タイプは、ヤギ乳の脂肪分を含んだタイプ。
一方の脱脂タイプは、ヤギ乳から脂肪分を取り除いたタイプです。
同じ「ヤギミルクパウダー」でも、この違いによって風味や商品設計、保存性などに違いが出てきます。
全脂ヤギミルクパウダー
・脂肪分を含む
・ヤギミルク特有の風味を比較的感じやすい
・脂質も含めた商品設計をしたい場合に検討しやすい
・当社取扱原料の賞味期限は製造日から2年
脱脂ヤギミルクパウダー
・脂肪分を取り除いている
・全脂と比べるとヤギミルク特有の風味が比較的穏やか
・脂質を抑えた商品設計をしたい場合に検討しやすい
・当社取扱原料の賞味期限は製造日から3年
※賞味期限は当社取扱原料の場合です。原料メーカーや製品規格、保存条件などによって異なります。
なぜ全脂タイプの方が賞味期限が短いの?
ここも商品開発では意外と大切なポイントです。
全脂タイプには脂肪分が含まれています。
脂肪は保存中に酸化などの影響を受けやすいため、脂肪分を含むかどうかは原料の保存性にも関係します。
当社で取り扱っているヤギミルクパウダーの場合、
全脂タイプ:製造日から2年
脱脂タイプ:製造日から3年
となっています。
原料を選ぶときは配合のしやすさだけでなく、最終商品の賞味期限や原料の在庫期間なども含めて考えることが大切です。
風味にも違いがあります
もうひとつ分かりやすい違いが、風味です。
全脂タイプは、ヤギミルク特有の風味を比較的感じやすい傾向があります。
一方、脱脂タイプは全脂タイプと比べると、その風味が穏やかです。
ただし、これは「どちらがおいしい」という話ではありません。
たとえば、ヤギミルクらしさを商品の特徴として出したい場合と、他の素材と組み合わせるために風味への影響をできるだけ抑えたい場合では、原料に求めるものも変わります。
配合量や組み合わせる原料、最終的な商品の形によっても風味は変わるため、実際の商品開発では試作しながら調整していきます。
ペット向け商品ではどう使い分ける?
ペット向けの商品開発では、ターゲットに合わせて全脂・脱脂を選び分けるケースがあります。
たとえば、成長期などのアーリーステージを対象とした商品では、脂肪分を含む全脂タイプを選ぶケースがあります。
一方で、体重管理を意識した商品では、脂肪分を取り除いた脱脂タイプを選ぶケースもあります。
「アーリーステージ向けなら全脂」「体重管理を意識するなら脱脂」という考え方は、商品設計をするうえでのひとつの選択肢です。
ただし、これがすべての商品に当てはまるわけではありません。
同じターゲットの商品でも、どのような栄養設計にするのか、他にどんな原料を配合するのか、どんな風味や剤形に仕上げたいのかによって、適した原料は変わります。
そのため、全脂・脱脂を選ぶときはターゲットだけで決めるのではなく、「誰に、どんな商品を作りたいのか」を考え、商品のコンセプトや設計全体に合わせて選ぶことが大切です。
ヤギミルクはペット向けだけではありません
ヤギミルクというと、ペット向けの商品を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、用途はそれだけではありません。
海外では育児用粉乳などにもヤギ乳が利用されています。
また、当社がこれまで取り扱ってきた事例では、全脂ヤギミルクを使用した子ども向けのチュアブル商品があります。
ヤギミルクにリン酸カルシウムやミルク香料などを組み合わせ、食べやすいチュアブルタイプに仕上げられた商品です。
一方で、脱脂ヤギミルクをウェハースに使用した事例もあります。
つまり、「子ども向けだから全脂」「お菓子だから脱脂」といった決まりがあるわけではありません。
作りたい商品の形や配合、風味、栄養設計などによって、全脂・脱脂のどちらを選ぶかは変わってきます。
実は化粧品に使われることも
ヤギミルクは、食品だけでなく化粧品などに利用されることもあります。
ただし、ここには注意が必要です。
当社が提供しているヤギミルクパウダーは、あくまで食品原料です。
そのため、化粧品原料としての規格書はご用意していません。
化粧品への使用を検討する場合は、食品としての規格だけで判断するのではなく、用途や製品に応じた確認が必要になります。
また、脂肪分や風味などの特性から、脱脂タイプの方が扱いやすいケースも考えられますが、処方や用途によって異なります。
全脂と脱脂、「どちらが良い?」ではなく「何を作りたい?」
ヤギミルクパウダーの全脂と脱脂。
一番分かりやすい違いは脂肪分ですが、商品開発ではそれだけを見て決めるわけではありません。
脂質をどのくらい含めたいのか。
どんな風味にしたいのか。
誰に向けた商品なのか。
どんな形の商品にするのか。
どのくらいの賞味期限を想定するのか。
こうした条件を整理していくことで、どちらの原料が商品に合っているのかが見えてきます。
全脂と脱脂のどちらが優れている、ということではありません。
作りたい商品のコンセプトに合った原料を選ぶ。
これが、ヤギミルクパウダーを選ぶときの基本的な考え方です。
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