日本製のプロテインを自社ブランドで販売したい。そんなとき、OEMメーカーには何を伝え、どのような順番で商品開発を進めればよいのでしょうか。
例えば、海外の販売事業者が「バニラ・チョコレート・抹茶の3種類を、それぞれ1kg入りで500袋または1,000袋製造したい」と考えているケースです。
希望する味や数量が決まっていても、それだけでは正確な見積もりを出すことは難しい場合があります。
プロテインは、使用するたんぱく質原料、配合量、風味、甘味料、包装仕様などによって、原価や製造条件が大きく変わる商品だからです。
この記事では、プロテインOEMを検討する事業者に向けて、原料選びから処方設計、フレーバー開発、試作、製造数量、海外販売時の注意点まで、商品開発に必要な知識を解説します。
プロテインOEMとは?自社ブランドの商品を作る仕組み
OEMとは、製造設備を持たない企業などが、外部のメーカーに自社ブランドの商品製造を委託する仕組みです。
プロテインOEMでは、原料の調達、配合設計、試作、製造、充填、包装などを、OEMメーカーの対応範囲に応じて依頼できます。
商品開発の方法は、大きく分けて2つあります。
- 既存の処方を活用し、味や包装などを調整する方法
- 商品コンセプトに合わせて、オリジナルの処方を開発する方法
既存処方を活用する場合は、開発工程を簡略化できる可能性があります。一方、独自の配合や特徴を重視する場合は、試作や原料選定に時間と費用がかかることがあります。
どちらが適しているかは、商品の差別化方針や予算、発売までの期間によって異なります。
最初に決めたいのは「誰が、いつ、何のために飲む商品か」
プロテインの商品開発では、原料や味を決める前に、ターゲットと使用場面を整理することが重要です。
例えば、同じプロテインでも、次のように商品設計の方向性が変わります。
| 想定するターゲット | 商品設計で検討したい点 |
|---|---|
| 筋力トレーニングを行う人 | 1食当たりのたんぱく質量、飲みやすさ、価格 |
| 日常的にたんぱく質を補給したい人 | 続けやすい味、摂取量、購入しやすい価格 |
| 植物性食品を選びたい人 | 植物性原料の種類、動物由来成分の有無、風味 |
| 忙しい生活の中で利用したい人 | 水への溶けやすさ、準備の手軽さ、包装形態 |
これはあくまで企画の例であり、特定の原料が特定の人に必ず適しているという意味ではありません。
また、商品の使用場面を考えるときには、TPOSという考え方も参考になります。
TPOSとは、Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場面)、Style(生活スタイル)の頭文字を取ったものです。
朝食時に飲むのか、運動後に飲むのか。自宅で使うのか、外出先で使うのか。
こうした違いによって、適切な味の濃さ、1食分の量、容器の形状などが変わってきます。
競合商品との差別化を考える際も、単に「高たんぱく」「おいしい」といった特徴だけでなく、誰のどのような需要に応える商品なのかを明確にすることが大切です。
ホエイ・カゼイン・植物性プロテインの違い
プロテインOEMでは、たんぱく質の原料選びが商品設計の出発点になります。
代表的な原料には、ホエイ、カゼイン、大豆、えんどう豆などがあります。
ホエイプロテイン
ホエイは、牛乳に含まれる乳清由来のたんぱく質です。
ホエイ原料には、主にWPC(ホエイプロテインコンセントレート)とWPI(ホエイプロテインアイソレート)があります。
WPCは、製法や規格によってたんぱく質含有率や乳糖・脂質の残存量が異なります。
WPIは一般にWPCよりもたんぱく質含有率が高く、乳糖や脂質が少ない傾向があります。ただし、実際の成分値は原料ごとの規格書で確認する必要があります。
また、どちらも乳由来原料であり、乳アレルギーへの配慮が必要です。乳糖が少ないことと、乳アレルギーの人が摂取できることは別の問題です。
カゼインプロテイン
カゼインも牛乳由来のたんぱく質ですが、ホエイとは性質が異なります。
使用するカゼイン原料の種類によって、水に溶かしたときの粘度や食感、製品への配合適性が変わります。
そのため、ホエイと単純に置き換えられるとは限りません。
大豆プロテイン
大豆由来のプロテインは、植物性の商品を企画する際の選択肢のひとつです。
大豆特有の風味があるため、フレーバーとの相性を確認する必要があります。
また、大豆は日本の食品表示制度でアレルゲン表示が推奨されている品目のひとつです。輸出する場合は、販売国のアレルゲン表示ルールも確認します。
えんどう豆などの植物性プロテイン
えんどう豆由来のピープロテインをはじめ、植物性原料にはさまざまな種類があります。
原料によって、たんぱく質含有率、アミノ酸組成、風味、色、溶解性などが異なります。
複数の植物性原料を組み合わせる方法もありますが、配合によって味や食感、製造適性が変わるため、試作での確認が必要です。
どの原料を選ぶべき?
原料選びでは、単に「ホエイか植物性か」を決めるだけでなく、次の条件を比較します。
- 原料のたんぱく質含有率と成分規格
- 1食当たりに必要な配合量
- 風味、溶けやすさ、口当たり
- アレルゲンや食事上の制約
- 原料価格と供給の安定性
- 販売予定国で使用できるか
原料そのもののたんぱく質含有率と、最終製品のたんぱく質含有率は同じではありません。香料や甘味料などを加えると、完成品全体に占めるたんぱく質の割合も変わります。
1食当たりのたんぱく質量はどう決める?
プロテインOEMでは、1食分の粉末量と、そこに含まれるたんぱく質量を分けて考える必要があります。
例えば、1食分を30gとし、完成品のたんぱく質含有率が70%なら、計算上のたんぱく質量は21gです。
30g × 70% = 21g
ただし、これは計算例です。実際の表示値は、製品の配合や栄養成分の確認結果に基づいて設定します。
また、1食分の量を増やせばたんぱく質量も増やせますが、粉末量が多くなると、飲み切りやすさや風味、1袋から摂取できる回数にも影響します。
たんぱく質以外に、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを配合したい場合も、商品コンセプトとの整合性や味への影響を検討しましょう。
バニラ・チョコレート・抹茶の3種類を作るときの注意点
複数のフレーバーを展開する場合、単に香料を変更するだけで完成するとは限りません。
バニラ、チョコレート、抹茶では、使用する原料や必要な甘味の調整が異なります。
バニラ味
バニラは、原料となるプロテインの風味が仕上がりに影響しやすいフレーバーのひとつです。
香りだけでなく、甘さや後味も含めて調整する必要があります。
チョコレート味
チョコレート味では、ココアパウダーなどを使用する場合があります。
ココアの種類や配合量によって、色、苦味、風味、粉末の分散性などが変わります。
抹茶味
抹茶味では、抹茶の配合量や品質によって、色、苦味、香りが変わります。
また、抹茶由来の色や風味は、原料の状態や保管条件によって変化する可能性があるため、賞味期限を設定する際の品質確認も重要です。
3種類のフレーバーは別々に試作する
ベースとなるプロテイン原料が同じでも、フレーバーごとに配合を調整することがあります。
そのため、3種類の味を開発する場合は、それぞれの試作・評価が必要になると考えておくとよいでしょう。
確認したいのは、味の好みだけではありません。
- 水や牛乳などに混ぜたときの風味
- ダマのできやすさや粉末の分散性
- 粉っぽさや口当たり
- 甘さと後味
- 色や香りの変化
なお、水に溶かしたときの評価と、牛乳に混ぜたときの評価では結果が異なる場合があります。想定する飲み方に合わせて試作を確認することが大切です。
甘味料や香料はどう選ぶ?
プロテインの味づくりでは、甘味料や香料の選定も重要です。
砂糖を使うのか、高甘味度甘味料を使うのか、甘味を控えめにするのかによって、味だけでなく栄養成分や原価も変わります。
「人工甘味料不使用」などの方針がある場合は、企画の初期段階でOEMメーカーに伝えましょう。
ただし、「無添加」「天然」といった言葉だけでは、使用できる原料の範囲が明確にならないことがあります。
避けたい添加物や、使用したい原料を具体的に示すほうが、処方の検討を進めやすくなります。
日本では食品添加物の使用について法令上のルールがあり、海外向け製品では販売国の規制も確認しなければなりません。
また、添加物を使用していないことだけで、商品の安全性や品質の優劣が決まるわけではありません。
1kg入りプロテインのOEMは何袋から製造できる?
プロテインの最小製造数量は、OEMメーカーの設備や製造方法、処方、包装仕様などによって異なります。
例えば、1kg入りの商品を次の数量で製造するとします。
| 1フレーバー当たりの数量 | 必要な完成品重量 |
|---|---|
| 500袋 | 500kg |
| 1,000袋 | 1,000kg |
バニラ・チョコレート・抹茶の3種類を製造する場合、単純計算では次の数量になります。
- 各500袋:合計1,500袋、完成品重量1,500kg
- 各1,000袋:合計3,000袋、完成品重量3,000kg
これは完成品の重量を計算したものであり、実際の原料仕込み量ではありません。製造工程でのロスなども考慮する必要があります。
また、3種類のフレーバーは配合が異なるため、通常はそれぞれの製造条件を確認します。
例えば、メーカーが1種類当たりの最小製造量を設定している場合、3種類の合計数量が条件を満たしていても、各フレーバーの数量が不足することがあります。
逆に、使用する設備や処方によっては、希望数量に対応できる可能性もあります。
重要なのは、総発注数量だけでなく、フレーバーごとの製造数量を確認することです。
なお、1kg入りの袋にも、既製品とオリジナル印刷品があり、包装資材の発注条件が異なる場合があります。
プロテインOEMの費用を左右する主な要素
プロテインOEMの製造費用は、たんぱく質原料の価格だけでは決まりません。
主な費用要素には、次のようなものがあります。
- たんぱく質原料や副原料の費用
- 香料、甘味料などの配合原料の費用
- 処方開発や試作にかかる費用
- 混合、充填、包装などの製造費用
- 袋、ラベル、化粧箱などの包装資材費
- 必要な検査や品質確認の費用
- 保管、輸送、輸出に関する費用
特に、たんぱく質原料は製品の大きな割合を占める場合があるため、原料価格が製造原価に影響しやすい商品です。
また、海外から調達する原料については、為替相場や国際輸送費、供給状況などが調達価格に影響することがあります。
ただし、円安になればすべての原料価格が同じ割合で上がるわけではありません。実際の仕入れ条件や契約内容によって影響は異なります。
見積もりを比較する際には、製造単価だけでなく、試作費、包装資材費、検査費、輸送費などが含まれているかを確認しましょう。
サンプルはいつ依頼できる?試作から量産までの流れ
プロテインOEMでは、一般に次のような流れで商品開発を進めます。
1.商品コンセプトと仕様の整理
ターゲット、販売予定国、たんぱく質原料、1食分の量、希望する栄養成分、味、包装、数量、予算などを整理します。
2.処方の検討と概算見積もり
希望条件をもとに、使用可能な原料や製造方法を検討します。
仕様が確定していない段階では、条件付きの概算見積もりとなる場合があります。
3.試作品の製作と評価
処方をもとに試作品を製作し、風味、甘さ、溶けやすさ、口当たりなどを確認します。
既存処方のサンプルを先に確認できる場合もありますが、オリジナル処方の試作には別途費用や期間が必要になることがあります。
4.処方・包装仕様の確定
試作結果を踏まえ、配合やフレーバーを調整します。
同時に、栄養成分表示、原材料表示、包装資材、必要な検査などを確認します。
5.量産・品質確認・納品
仕様確定後に量産へ進みます。
製造後は必要な品質確認を行い、契約条件に沿って納品します。
開発期間は、処方の複雑さ、試作回数、原料や資材の調達状況などによって変わります。希望する発売時期がある場合は、最初の相談時に共有しておきましょう。
日本製プロテインを海外で販売するときの注意点
日本国内で製造できるプロテインであっても、そのまま海外で販売できるとは限りません。
販売予定国によって、食品の分類、原料や添加物の使用条件、表示ルール、輸入手続きなどが異なるためです。
特に確認したいのは、次の点です。
- 使用するたんぱく質原料や添加物が販売国で認められているか
- 乳や大豆などのアレルゲン表示に問題がないか
- 栄養成分や原材料を現地のルールに沿って表示できるか
- たんぱく質に関する強調表示や広告表現が認められるか
- 輸入時に必要な書類、検査、証明書などがあるか
植物性原料を使用していても、製品全体としてヴィーガン向けなどの表示が可能かどうかは、その他の配合原料や製造条件も含めて確認する必要があります。
また、「日本製」であることと、すべての原料が日本産であることは同じではありません。
原料の原産地や製造国について説明する場合も、実際の製造・調達状況に基づいた正確な表示が必要です。
海外向けの商品開発では、処方やパッケージを確定する前に、現地の輸入事業者などと規制への適合を確認しておくことが重要です。
OEMメーカーへの相談前に整理したい情報
プロテインOEMの相談をスムーズに進めるためには、最初に次の情報をまとめておくと便利です。
| 項目 | 伝える内容の例 |
|---|---|
| 販売予定国 | シンガポール、香港など |
| ターゲット | 運動習慣のある成人、日常的な栄養補給を考える人など |
| 原料 | ホエイ、ソイ、ピープロテインなど |
| 1食分の設計 | 粉末量と目標たんぱく質量 |
| フレーバー | バニラ、チョコレート、抹茶 |
| 内容量 | 1袋1kg |
| 希望数量 | 各フレーバー500袋または1,000袋 |
| 添加物の方針 | 使用したいもの、避けたいもの |
| 包装 | 既製パウチ、オリジナル印刷パウチなど |
| 予算・納期 | 希望する仕入れ単価、発売時期 |
すべての項目が確定している必要はありません。
決まっている条件と、メーカーに提案してほしい条件を分けて伝えることが大切です。
特に希望販売価格がある場合は、製造予算とあわせて共有すると、原料や処方、包装仕様を検討しやすくなります。
まとめ|プロテインOEMは商品コンセプトと処方設計から始めよう
プロテインOEMでは、希望する味や包装数量だけでなく、たんぱく質原料、1食当たりの栄養設計、添加物の方針、販売予定国などを整理することが重要です。
ホエイと植物性プロテインでは原料の特性が異なり、同じ原料を使用しても、フレーバーや配合によって味や製造条件が変わります。
また、1kg入りの商品を複数の味で展開する場合は、フレーバーごとの製造数量や包装資材の条件も確認しなければなりません。
価格競争だけに頼らず、誰に、どのような場面で選ばれる商品にしたいのかを明確にすることが、商品開発の第一歩です。
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