海外向け健康食品OEMのMOQはなぜ大きくなる?国内向けとの違いと小ロット製造の考え方

実務Q&A

日本で製造した健康食品やサプリメントを海外で販売したいと考え、OEMメーカーに問い合わせたところ、想定していたよりも多い発注数量を提示された。

海外向けの商品開発では、このような場面が考えられます。

「国内向けなら少量で製造できるのに、海外向けではなぜ数量が増えるのだろう?」

その理由を理解するには、まず「MOQ(最小発注数量)」が何によって決まるのかを知る必要があります。

実は、海外向けの商品だからといって、必ずしも製造ロットが大きくなるわけではありません。製造工程の条件は国内向けと同じでも、包装資材や輸出に関する条件によって、発注可能な数量が変わる場合があります。

この記事では、健康食品OEMにおけるMOQの基本から、海外向け商品の発注数量が増える理由、小ロットで始めるための検討方法まで解説します。

MOQとは?まず知っておきたい最小発注数量の基本

MOQとは「Minimum Order Quantity」の略で、取引先が受け付ける最小の発注数量を意味します。

健康食品OEMでは「最小ロット」と呼ばれることもありますが、何を基準とした数量なのかは確認が必要です。

例えば、同じサプリメントでも、次のように数量の単位が異なります。

  • 錠剤やカプセル:粒数
  • 粉末や顆粒:重量(kg)
  • 個包装商品:包数
  • 完成品:袋数、瓶数、箱数など

仮に、製造できる最小数量が30,000粒で、1瓶に60粒を充填する商品なら、計算上は500瓶分に相当します。

ただし、これは単純な数量換算です。実際には製造・充填工程でのロスや包装資材の条件などがあるため、30,000粒から必ず500瓶の完成品が得られるわけではありません。

見積もりの際は、提示されたMOQが原料の仕込み量なのか、製造する粒数なのか、納品される完成品の数量なのかを確認しましょう。

製造ロットと発注ロットは同じとは限らない

海外向けOEMを検討する際に、特に理解しておきたいのが、製造工程と発注条件の違いです。

製造ロットは設備や製造方法によって決まる

健康食品の製造では、原料を混合したり、錠剤に加工したり、カプセルに充填したりするために、専用の設備を使用します。

設備には、それぞれ適した仕込み量や処理量があります。

例えば、粉末を混合する設備では、少なすぎる原料量では十分に混合できない場合があります。また、錠剤やカプセルの製造では、設備の準備や切り替え、製造管理などの工程も必要です。

そのため、メーカーは設備の条件や製造効率などを踏まえて、対応できる最小製造量を設定しています。

この条件は、必ずしも国内向けか海外向けかによって変わるものではありません。

同じ処方、同じ剤形、同じ設備で製造するのであれば、基本的な製造条件は共通する場合があります。

包装資材には別の発注条件がある

完成品を作るには、中身の製造だけでなく、容器や袋、ラベル、化粧箱なども必要です。

これらの包装資材には、製造メーカーとは別に、資材供給会社が設定する最小発注数量がある場合があります。

例えば、サプリメントの中身は少量で製造できても、オリジナル印刷のパウチや化粧箱を必要数量だけ購入できるとは限りません。

この場合、問題になっているのは中身の製造ロットではなく、包装資材の調達条件です。

既製の容器や袋を使用し、ラベルで商品を識別する方法が選べれば、オリジナル印刷資材を使用する場合とは異なる条件で検討できる可能性があります。

ただし、既製資材にも調達単位や対応可能な仕様があるため、必ず小ロットになるとは限りません。

取引上の最低受注数量が設定される場合もある

製造や資材の条件とは別に、OEMメーカーや取引窓口が、受注に必要な最低数量を設定している場合もあります。

海外向けの取引では、契約、決済、輸出関連の確認、物流手配など、製造以外の業務が加わることがあります。

こうした業務への対応体制や取引方針を踏まえて、メーカーが海外向け案件の受注条件を国内向けと分けている場合もあります。

ただし、これは各社の判断によるものであり、海外向け製品のMOQを一律に定める制度があるわけではありません。

海外向けOEMでMOQが増える場合の主な理由

販売国に合わせた専用パッケージが必要になる

海外向け商品では、販売国の表示ルールに合わせたパッケージを用意する必要があります。

例えば、原材料名や栄養成分などの表示項目、使用言語、輸入者情報などについて、販売国の規制を確認しなければなりません。

国ごとに異なるデザインの袋や箱を製作する場合、それぞれに資材の発注条件が生じることがあります。

同じ中身を製造していても、日本向けと海外向けで包装資材を分けることで、完成品の発注数量や費用が変わる可能性があるのです。

一方、現地での適切なラベル貼付など、別の表示方法が認められる場合もあります。

どの方法が利用できるかは販売国の制度や商品の条件によるため、事前の確認が必要です。

原料や処方の変更が必要になる

日本国内向けに使用している原料や添加物が、海外でも同じ条件で使用できるとは限りません。

販売国の規制に合わせて原料を変更したり、配合量を調整したりする場合、国内向け商品とは別の処方になることがあります。

処方が異なれば、原料の調達や製造条件、試作、検査などについて改めて確認が必要です。

その結果、国内向け商品と同じ製造ロットで対応できない場合があります。

ただし、海外向けという理由だけで処方変更が必要になるわけではありません。実際に変更が必要かどうかは、販売国と商品の内容によって判断します。

海外取引に伴う費用と採算条件が異なる

海外向けの商品では、国内販売とは異なる取引費用が発生することがあります。

例えば、輸送費、輸出入に関する書類作成、必要に応じた検査や証明書の取得などです。

これらの費用が発生しても、製造設備そのものの最小ロットが変わるとは限りません。

しかし、一定の費用を少数の商品で負担すると、1商品当たりの費用が大きくなる場合があります。

そのため、メーカーや取引先が、採算を考慮して一定以上の発注数量を求めることがあります。

ここで重要なのは、「製造できない数量」と「取引条件として受け付けていない数量」を区別することです。

前者は製造設備や工程の制約が関係し、後者は費用や取引方針によって変わる可能性があります。

海外向けOEMのMOQは国内向けの何倍になる?

海外向けのMOQについて、「国内向けの2倍」「輸出では最低1万個」といった共通の基準はありません。

実際の条件は、メーカー、剤形、原料、包装方法、製造数量などによって異なります。

例えば、健康食品OEM事業者の中には、錠剤の最小仕込み量について、国内向けと海外向けで異なる条件を公開している会社があります。

一方、既存の処方や包装仕様を活用することで、比較的少ない数量から対応しているメーカーもあります。

つまり、海外向けのMOQは、業界共通の倍率で決まるものではありません。

提示された数量が希望より多い場合は、その理由を確認することが重要です。

「海外向けだから数量が増える」と説明されたときも、どの工程や取引条件が影響しているのかを確認することで、仕様変更の余地があるか判断しやすくなります。

小ロットで海外向け商品を作るには?

海外向けの健康食品を少量から販売したい場合は、最初に希望数量を伝えたうえで、商品仕様を調整できるか相談しましょう。

既製の容器や包装資材を検討する

オリジナル印刷の袋や化粧箱にこだわらず、既製の容器や包装資材を利用できるか確認します。

例えば、既製のボトルにラベルを貼る方法が利用できれば、専用容器の製作を避けられる場合があります。

ただし、表示方法が販売国の規制に適合することが前提です。

既存の処方や製造方法を活用する

新しい処方を一から開発するのではなく、メーカーが対応している既存の処方や製造方法を利用できる場合があります。

原料や剤形を変更すると、必要な仕込み量や製造工程が変わることもあります。

希望する成分や商品コンセプトを保ちながら、対応可能な仕様を検討する方法です。

なお、既存処方であっても、海外で販売する場合は販売国の規制への適合確認が必要です。

包装仕様や内容量を見直す

製造できる中身の総量が決まっている場合、1商品当たりの内容量によって完成品の数量が変わります。

例えば、粉末を一定量製造する場合、1袋当たりの内容量を変更すると、完成品の袋数も変わります。

ただし、内容量を減らせば発注数量も減るわけではありません。むしろ、同じ製造量から作る袋数が増える場合もあります。

そのため、内容量の変更は「最小ロットを減らす方法」としてではなく、販売価格や使いやすさ、完成品数量を調整する方法として検討しましょう。

初回発注と追加発注の条件を確認する

初回は市場の反応を確認するために少量から始めたい、という希望もあるでしょう。

その場合は、初回と追加発注で条件が変わるか確認しておくことが大切です。

包装資材をまとめて購入し、複数回の製造に分けて使用できる場合もありますが、保管費用や資材の管理、表示内容の変更リスクなどが生じます。

また、製造した中身を後から分割して包装できるかどうかも、品質管理や保管条件によって異なります。

いずれも当然に対応できる方法ではないため、メーカーとの事前相談が必要です。

MOQが希望より多いとき、メーカーに確認したいこと

希望数量と提示されたMOQが合わない場合は、単に値下げや数量の引き下げを依頼するのではなく、次の点を確認してみましょう。

  • 提示されたMOQは、原料の仕込み量、製造数量、完成品数量のどれか
  • 最小数量を決めているのは、製造設備、原料調達、包装資材、取引条件のどれか
  • 国内向けと海外向けで数量が異なる場合、その理由は何か
  • 既製の容器やラベル包装に変更すると、数量条件は変わるか
  • 原料や剤形を変更することで、別の製造方法を選べるか
  • 初回と追加発注で、単価や最低数量は変わるか
  • 輸出関連の費用や業務は、見積もりにどこまで含まれるか

特に重要なのは、MOQを引き下げられるかどうかだけでなく、条件を変更した場合の費用や品質、納期への影響も確認することです。

少量製造に対応できても、1商品当たりの費用が大きくなれば、想定する販売価格に合わなくなる可能性があります。

反対に、数量を増やすことで単価が下がっても、売れ残りや保管費用の負担が増えることがあります。

発注数量は、製造費用だけでなく、販売計画や在庫リスクも含めて判断しましょう。

まとめ|海外向けOEMのMOQは、理由を確認することが大切

海外向けの健康食品OEMでは、国内向けより多い発注数量を提示される場合があります。

しかし、海外向けだから必ずMOQが増えるわけではありません。

製造設備の最小仕込み量、原料や包装資材の調達条件、海外取引に伴う業務や費用など、どの条件が影響しているのかによって、検討できる対応策は異なります。

小ロットでの商品開発を希望する場合は、希望数量だけでなく、販売予定国、商品コンセプト、原料、剤形、包装方法、予算なども伝えましょう。

そのうえで、製造条件と取引条件を分けて確認することが、無理のない商品開発につながります。

ナチュラリンクでは、健康食品・サプリメントの原料調達からOEM製造先の選定、海外向けの商品開発まで、ご相談に対応しています。

海外向け商品の製造数量や商品仕様でお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

 

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