ビタミンDと肝油が注目される理由

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イギリスなど欧州でよく売られているサプリメントに、「Cod Liver Oil」があります。Fish and Chipsという代表的な大衆向けファーストフードがある国で、フライされている魚もタラが多いのですが、なぜ「タラの肝油」がよく売られているのがわかりませんでした。

日本でも「肝油ドロップ」というのが昔からよく売られていて、子供のときによく食べさせられた方もいると思いますが、アメリカでも同様のドロップがあるようです。さて、ここから本題ですが、なぜ肝油が注目されるのか?

1つはビタミンDの補給という観点です。

アメリカの多くの研究によると、米国の1歳~11歳までの子供の5人に1人は、ビタミンDが大幅に不足しているという調査結果が報告されています。ハーバード大学医学部付属こども病院の研究によれば、黒人の子供の90%、ヒスパニック系の子供の80%がビタミンD不足になっているとのこと。

ビタミンDの不足は、骨の脆さや免疫力の低下をもたらし、Ⅰ型糖尿病やある種のガンの発症リスクに繋がると警告しています。ビタミンDは食事から摂取するほかに、日光浴をすることで、体内で一部合成できます。

お年寄りや妊婦など外出機会が減っていると、その合成能力が発揮されないため、日常的な散歩などを推奨されるわけですが、肝心の食事から補おうとした場合、何をとればいいのかという問題になります。米国国立衛生研究所では、子供には4杯のビタミンD強化ミルクと魚をたくさん摂ることを勧めています。

牛乳、母乳の中にビタミンDは減少していて、あえて合成ビタミンDを添加された牛乳が販売されています。カルシウムの吸収を促進する意味でビタミンDを一緒に入れているのもありますね。しかし、より効率よく摂るには、タラの肝油に分がありそうです。

1杯のビタミンD強化ミルクに含まれるビタミンD、大さじ一杯のタラ肝油に含まれるビタミンDを比較した場合、前者は98IUであるのに対して、後者は1360IUと、約13倍も違います(Source: National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements)。

カナダやフィリピンなど海外では、スプーンで油を飲む(摂取する)習慣がある国もありますが、大体ソフトカプセルになったサプリメントで摂るところが多いですね。いまさらながら、子供向けに甘く味付けした「肝油ドロップ」がロングセラーになっている理由がわかりました。

最後に、ビタミンDは脂溶性ビタミンで摂取上限量が決まっているので、肝油ドロップの食べすぎにはお気をつけて。お菓子のようですが、あれはれっきとした医薬品(指定第二類医薬品)です。

ところで、マルチビタミンなどのサプリメントでは必ずといっていいほど入っているビタミンD、通常の食品に含まれているビタミンDにも2種類あるのはご存知でしょうか? ビタミンD2、D3を総称して、ビタミンDと呼んでいます。

ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)

紫外線の照射によって、植物に存在するエルゴステロールから生成されます。

ビタミンD3コレカルシフェロール)

動物に存在する7-デヒドロコレステロール(7-DHC)から生成されます。

さて、ビタミンDは食品から摂る以外にも、紫外線を浴びることで体内で合成することもできます。しかし、加齢とともに外出機会が減ると、ビタミンDの合成が低下して不足しがちになります。ここで気になるのは、ではビタミンD2、D3どちらが良いの?ってことですね。

米国からの新しい調査によると、ビタミンD3は、ビタミンD2よりも、87以上ビタミンの血中濃度を高めるという研究発表がありました。 (出展:Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」

つまり体内でよく吸収され、利用されるのがD3だったということ。興味深いのは、一般の食事由来のものだけでなく、合成のサプリメントでも同様の結果だったとのこと。1つの研究結果だけをみて信用するのは軽率ですが、今まで開発をしてきた中で思ったのは、消費者のイメージと製造現場の知識のギャップがあるということ。

こういう研究データや論文発表は一般の人には知られてないですからね。加齢とともに減少する成分、葉酸、ビタミンDの2つはこれからも要注目です。年配の方にはお勧めします。

 

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