母なる力が健康を保つ:アポラクトフェリン

成分情報

母乳栄養で育った赤ちゃんは人口栄養で育った赤ちゃんよりも、より発育がよく、健康になる。そんなことを聞いたことはないでしょうか? これについては、罹患率やはたまた成人後のIQ指数など、色々な研究に基づくデータが出ているようですが、乳に含まれるたんぱく質が、健康維持にとても重要な働きを持つことがわかってきました。

母乳の中でも特に初乳にはウィルスや菌などの外敵から無菌状態で生まれた赤ちゃんを守る成分が入っています。それがホエイ(乳清)中の機能性タンパク質であるラクトフェリンです。このラクトフェリンですが、世界で最も研究されている機能性食品素材といっても過言ではありません。世界で使用されている医学論文検索サイト「PubMed」で調べてみると、その数は歴然です。それだけ色々な可能性(機能性)について研究されているマルチな(多機能な)たんぱく質なんですね。よく知られているのは、以下のものです。


○抗菌・抗ウィルス

○悪玉菌を減らし、善玉菌を増やす

○免疫力を向上、調整する

○鉄分吸収を促進し、貧血を防ぐ

現在、ラクトフェリンを添加した乳幼児用ミルク、ヨーグルト、チューインガム、健康食品、ペット用特別飼料などが
工業的に製造され、販売されています。これらのラクトフェリンは牛乳から作られていますが、牛乳中のラクトフェリンは人乳よりも鉄と強く結合していて、大体15~20%の鉄分が含まれます。そして、この含まれる鉄の量が少なければ少ないほど、ラクトフェリンの機能性が高くなることがわかっています。

興味深いのは、大部分のラクトフェリンは母乳中で鉄を結合していないアポラクトフェリンとして存在しているという事実です。こちらの書籍を参照させていただきました。

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昔と違って、日本は清潔になり過ぎたため、体の中の寄生虫が少なくなって、アトピー等のアレルギー疾患が増えた…ともいわれていますが、遺伝などの内部要因とともに、環境変化による外部要因から、免疫の調整が難しくなった現代といえるかもしれません。ウィルス、放射線、菌など色々な外敵はありますが、健康を維持、増進するために、母なるパワーであるアポラクトフェリンの力が求められています。

花粉症のある方は、風邪とWでくるとキツイですよね。マスクでは予防効果に限界がありますので、鼻・のどのケアとして飴をなめることも小さなことですが、予防策です。抗菌・抗ウィルス作用に加えて、抗アレルギー作用のある素材としても「アポラクトフェリン」は、知られています。現在、サプリメントだけでなく、のど飴などでも商品化されています。

アポラクトフェリンは、サプリ大国・アメリカでも商品化されていますが、鉄含有量が多くピンク色をしているのに対して、NZ産のアポラクトフェリンは、鉄含有量が低く、結晶がキラキラと光る白い宝石のようです。抗酸化作用、抗糖化作用など、通常のラクトフェリン以上の機能性が見出されていますので、「進化型ラクトフェリン」とも言われています。

ラクトフェリンは世界的に市場が拡大していて、現在ニュージーランドやドイツ、アメリカ等で生産されていますが、需要に対して生産が追い付かないほどです。特に中国での需要が多く、年間の供給量上限が超えたために、来年度以降の予約注文をとっているメーカーが出てきています。
アポラクトフェリンは、ラクトフェリンを原料に製造しているため、ラクトフェリンの価格が上昇すると必然的にアポラクトフェリンの価格も上がってしまいます。しかしながら、生産量を増やし過ぎると、中国で一旦需要が落ち込み、原料が余り始めると一気に価格が落ちる可能性もあり、メーカーも一気に設備拡大、増産というのが難しい判断になるかと思います。

安価な原料ではありませんが、多機能な研究と今後の需要も含めてせっかくラクトフェリン、アポラクトフェリンを使うなら、微量添加ではなく、1日摂取量として200~300mg程度は使いたいところですね。

 

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