プロバイオティクスという言葉は聞いたことあるでしょうか?
ヨーグルトなどの商品PRでよく出てきますが、善玉菌など人体に良い影響を与える微生物、またはそれらを含む食品のことをさします。これを摂取することで、腸内環境を整えることに役立ちます。
一方、プレバイオティクスという言葉は、人体に有用な微生物群(プロバイオティクス)のえさとなる物質です。代表的なのは、食物繊維やオリゴ糖、ラクトフェリンなどですね。
ここまではよく出てきますが、プロバイオティクス+プレバイオティクス、この2つをあわせて「シンバイオティクス」といい、これら2つを一緒に摂る事で、さらに効果が上がるといわれています。
プロバイオティクス素材、プレバイオティクス素材の摂取方法は、ヨーグルト等通常の食事でも可能ですが、毎日継続的に摂りづらい場合、サプリメントの利用もお勧めです。
現在、新型コロナウィルスが世界的に流行していますので、サプリなどで免疫力を高めて防衛しようと考えている方も多いと思います。そこで、本記事では免疫力を高めるサプリメント等について、どのようなものがあるかご紹介します。
プロバイオティクスとバイオジェニックス
プロバイオティクスと言えば、乳酸菌、乳酸菌といえばヨーグルトです。乳酸菌は各乳業メーカーが競うように独自の乳酸菌が開発されています。
難しいのは、どの乳酸菌がいいの?という選択です。開発された乳酸菌全てが免疫力アップに焦点を当てているわけではなく、各社の狙い、開発戦略は様々です。
サプリの前に、ヨーグルトで乳酸菌(プロバイオティクス)を摂取する方が多いので、まずはヨーグルトのチョイスについて考えましょう。
最近、砂糖の過剰摂取は癌をはじめとした生活習慣病へのリスクを考慮し、低糖質ブームになっています。ブルガリアヨーグルトを始め、市販のヨーグルトも低脂肪+低糖質のコンセプトが増えました。
その一例がグラニュー糖の付属がなくなり、無糖のヨーグルトの登場です。
ちなみに「無糖」の定義は、ご存知でしょうか?
「糖」に関する表示のルールは、食品表示法で規定されています。
食品(飲料)の場合、100g(100ml)あたり単糖類または二糖類の糖類が0.5g未満であれば「無糖」。
2.5g未満であれば「微糖」「低糖」などの表示を使用してもよいことになっています。
但し、オリゴ糖を使用されている製品はあります。オリゴ糖はプレバイオティクス素材で善玉菌を増やす働きがありますので、ヨーグルトを選ぶ際は無糖もしくはオリゴ糖入りを選ぶとよいです。
ヨーグルトで有名なダノン社が90名の幼児を対象に7ヶ月間行った治験によると、プロバイオティクス+プレバイオティクス=シンバイオティクスを含むサプリメントを摂取することで、アレルギー性気管支喘息の発症を予防し、アトピーの症状にも改善がみられたという報告がありました。
さらに、最近よく耳にするようになりましたが、「バイオジェニックス」という概念が注目されています。
腸内細菌学会の用語集によると、バイオジェニックスとは「腸内フローラを介することなく、直接生体に作用し、免疫賦活、コレステロール低下作用、血圧降下作用、整腸作用、抗腫瘍効果、抗血栓、造血作用などの生体調節、生体防御、疾病予防・回復、老化制御などに働く食品成分」とあります。
乳酸菌体ペプチド、乳酸菌生産生理活性ペプチド(乳酸菌生産物質)、植物フラボノイド、DHA、EPA、ビタミンA・C・E、β-カロチン、CPPなどの食品成分が該当します。
サプリメントにおいても、プロバイオティクス単体のものもあれば、バイオジェニックス単体のものもあり、さらに複合タイプと素材の組み合わせはある意味、無限です。余計なものが入っていないかチェックしましょう。
また、乳酸菌の場合、生菌、死菌問わず、数が大事と言われています。気を付けたいのは、1日摂取あたりの数量なのか、1個(袋)あたりの数量なのか表示で紛らわしいことです。
ラクトフェリンと免疫
プロバイオティクスの力をサポートするプレバイオティクスの1つに「ラクトフェリン」があります。
ラクトフェリンとは、乳タンパクの一種です。乳由来のため、アレルギーのある方は控えた方がよいですが、世界中でラクトフェリンの機能性について研究されており、多種多様な機能があることがわかっています。
免疫との関係性は、ラクトフェリンには抗菌・抗ウィルス作用があり、元々人体および母乳中に特に豊富に含まれており、ウィルス等の外敵から乳児が健やかに成長するために欠かせない成分となっています(体内にあるものは、アポラクトフェリン=アポ化した鉄分含有の少ないものといわれています)
国内では森永乳業が原料大手ですが、ほぼ輸入品に依存しており、中国資本がニュージーランドの乳業会社の製品を買い占めたりした影響で、昨今安定供給が難しくなり、価格も高騰しています。
ラクトフェリンは、ヨーグルトに含まれているものもありますが、機能性を期待するのは難しいです。サプリで摂取する場合は、最低1日あたり200mg程度は摂取したいものです。
亜鉛と免疫
亜鉛もまた正常な免疫機能を維持するために必須のミネラルで、亜鉛が不足すると、免疫機能が低下し、味覚障害や 貧血、食欲不振、皮膚炎、生殖機能の低下、慢性下痢、脱毛といった症状が現れてきます。
サプリメントで摂取する際は、銅が含まれるものかつクロムやセレンを含んでいないものをお勧めします。 亜鉛の過剰摂取状態は銅の排泄を促進させて、銅欠乏をひき起こすとされています。
一方、クロムやセレンは通常の食生活で不足することはまずないことから、サプリとして補助的に摂取することは不要で逆に過剰摂取リスクがあります。
亜鉛を摂取する際は、銅とセット、かつビタミンCも含まれていると、元々吸収の悪い亜鉛の吸収を促進してくれます。
亜鉛の場合、栄養機能食品の1成分で、摂取目安量や目標値が明確に設定されていますので、年齢・性別、健康状態を考慮して、摂取目安を決めるのが重要です。
にんにくと免疫
にんにくは、 1990年代、アメリカ国立癌研究所 (NCI) によってがんを予防する効果があるとされる食材の研究が行われ設計されたデザイナーフーズピラミッドで、最上位にあたる食材です。上位にいけばいくほど、免疫力が強くガン予防に効果が期待できるものです。
ビタミンB1、B6、Cなどのビタミン類やカリウム、食物繊維が豊富で、ニンニクの匂いのもとになっているアリシンという成分は、免疫力をアップさせるほか様々な機能性が認められています。
さらに、生のにんにくは、醗酵させることで抗酸化力が約10倍にもアップするため、 最近では醗酵させた黒にんにくがサプリメントではよく使用されています。血流促進作用もあることから、同じ作用を持つ黒酢や納豆等との相性も良いです。
サプリメントは複合的アプローチで
免疫だけに特化したことではないですが、サプリメントの効果をより高めるためには、例えばウィルスに勝つためには武器が1つでなく2つ3つあると心強いです。ただし、武器の数が大事というわけではなく、その構成が大事です。
攻撃だけでなく守りも大事。ということは、防御となるもの、そして攻撃できるもの等役割分担です。そのチームワークが体全体の調和を促し、自らの力をより引き出すことに繋がります。
1つの力だけに頼ると、他の弱点を補うことができなかったりしますので、サプリメントだけに頼らず、食事+運動+睡眠といった基本的な要素とセットで考えましょう。
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