商品開発を進めていく中で立ちはだかる壁の1つにネーミングがあります。コンセプトやターゲットは最初に固めて進みだしますが、経験上ネーミングが最初から決まっているのは稀です。商標にも関係してくるので、沢山候補を挙げて絞り込んでいくのですが、メッセージが伝わりやすいネーミングというものがあります。ポイントは3つ。
1. 明瞭なベネフィット・・・商品がどういう価値を与えてくれるかわかりやすいもの
2. 興味、関心・・・・胡散臭いけれど、どんな商品?と思って楽しめそうなもの。
3. 独自性・・・・認知はある程度されているけれど、独自性を感じられるもの。
事例を1つ挙げるならば、ダイエット向けのベルト(サポーター)を、「肉取物語」という商品名に変えて爆発的ヒットになったり、商品の仕様は一切いじらず、ネーミングを変えるだけでヒットした例は数多くあります。健康食品の場合、薬事法の縛りがあるので、ダイレクトにベネフィットを伝える名称は難しいですが、黒豆の甘納豆(菓子)を「ゴリラのはなくそ」という商品名で販売しヒットした例は、上記の2に当てはまる事例です。
見た目からそういう名前にされたのですが、ネーミングだけでなく、実際に動物園をターゲットにしたというところが面白いです。動物園はヒット商品のお土産が乏しく、ネーミングの面白さからすぐ話題になり、瞬く間に全国の動物園に広がっていったそうです。
ネーミングは1つにまとめなくても、2つに分けることもできます。いわゆるサブネーム、メインネームという括りですね。サブネームはある意味、キャッチコピーですね。
例えば・・・
「燃える闘魂(サブネーム) アントニオ猪木(メインネーム)」
「浪速の春団治 川藤幸三」
ちょっとニュアンス違いますかね 笑
他のネーミング例です。九州新幹線の名称ですが、「さくら」。一般公募で第一位になった名称がそのまま選ばれたという発表でしたが、ネーミングを公募する際は、応募者向けの抽選で何らかのプレゼントが当たるキャンペーンになっています。
ネーミングは、いわばパッケージの顔、商品の顔です。これを公募するというのは、一種の消費者、ユーザー参加型の商品企画ですね。先行して関心を引き寄せるという意味では、(見込み客の)集客と言えるかも知れません。ただ、公募は表向きで、実際は既に決まっていたネーミングだという声も中にはあります。
以前、ある講演会で、JR九州の社長がネーミングについて、なぜ「さくら」なのかコメントされていました。それは、、鹿児島県出身の女子プロゴルファー・横峰さくらのティーショットが時速260kmで、九州新幹線「さくら」の最高速度と同じであること。熊本県の名産品として名高い・馬刺し。馬肉のことを通称「さくら肉」と呼ぶこと。
こういうトークが予め用意されていたんじゃないかと思うほど、ツボにはまったネーミングですが、身近なところにネーミングのヒントは転がっているという例ですね。おそらく「さくら」という名称を投稿した方は、廃止になった寝台特急「さくら」のイメージはあったとしても、社長のような広い思考までは及ばなかったんじゃないかなと思わせます。
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