中国の保健食品区分の1つで、日本の保健用食品・栄養機能食品の制度に近い「レコード(記録)」区分で、2021年3月から新たに対象原料が追加となるニュースが入ってきました。今回新規で追加となる見込みの原料は5種類です。 1日の摂取目安量や機能性、対象、適合に関する情報と合せてご紹介します。 (2021年3月21日時点で弊社中国パートナーからの情報で、今後内容が変更になる可能性がありますことを予めご了承願います)
コエンザイムQ10
コエンザイムQ10は、肉類やイワシなどの青魚、ナッツ類などの食品に含まれている脂溶性の物質です。脂溶性のため、脂分と一緒に摂取しないと吸収されにくく、サプリメントではソフトカプセル形状でよく利用されています。食事からも補給できますが、 日本コエンザイムQ協会によると、同協会が推奨する1日あたりの摂取量目安100mgを摂取しようとすると、最も多く含まれるイワシでさえ毎日約26匹(1匹60gとして換算)食べなくてはなりません 。体内で合成することもでき、主に、体内でのエネルギー (ATP) 産生に関与しています。
中国保健食品(レコード)における1日あたりの摂取目安量:30~50mg
適用:大人。
不適用:子供、妊娠中、授乳中の女性、アレルギー体質の方
機能性:免疫システムの改善。抗酸化。
魚油
EPA/DHAを機能性成分として豊富に含む魚油は、サプリメントだけでなく医薬品用途でも利用されてきました。
俗に「血液サラサラ」や「記憶力向上」素材としての認知がありますが、消費者庁の食品の機能性モデル事業では 、DHAとEPAの両者で心血管疾患リスク低減や血中中性脂肪低減あるいは関節リウマチ症状緩和に十分な根拠があるとされています。 こちらもオイル原料のため、ソフトカプセルで使用されるケースが多いですが、油脂パウダー品も開発され、利用用途が広がっています。
中国保健食品(レコード)における1日あたりの摂取目安量 : <4.0 (EPA+DHA<1.0g)
適用:高脂血症
不適用:子供、妊娠中、授乳中、アレルギー体質、出血性疾患、低肝炎
機能性:低血中脂質のサポート
霊芝胞子粉末
霊芝胞子末は、「霊芝」が1年に1回放出する大変貴重な胞子を粉末化したもので、中国では紀元前200年から記述がみられる歴史の古い漢方素材のひとつであり、 臨床研究されてきた認知度の高い健康食品原料の一つです。 他のキノコ製品と同様に多糖類(主にβ-D-グルカン)を豊富に含有しています。また、ガノデリン酸や エルゴステロール (ビタミンD前駆物質)を分析した報告もあります。注意点としては、元々吸収しづらいため、細胞壁破壊といった加工技術が用いられることがありますが、①破壁後、酸化しやすい。② 効力を発揮するには低分子化処理が重要。 といったことが言われています。
中国保健食品(レコード)における1日あたりの摂取目安量 : 1-4g
適用:免疫力が低下している方
不適用:子供、妊娠中、授乳中の方
機能性:免疫システムの改善
メラトニン
メラトニン(Melatonin)は、動物、植物、微生物に存在する内因性ホルモンで、ヒトの松果体から分泌されるホルモンです。下等動物からヒトまで、季節のリズムや概日リズム(サーカディアンリズム)の調節作用をもっています。
アメリカではFDAからサプリメントとして承認されていますが、日本国内では睡眠薬(入眠導入促進)として医薬品扱いになっています。ヒトでは、必須アミノ酸であるトリプトファンからセロトニンを経て体内合成されます。そのため、トリプトファンを豊富に含む食品を摂ることで、メラトニンを増やし、夜の睡眠を促します。トリプトファンを多く含む食品は、バナナ、肉類、チーズ、ヨーグルト等があります。
中国保健食品(レコード)における1日あたりの摂取目安量 : 1-3mg
適用:成人
不適用:子供、妊娠中および授乳の方
機能性:睡眠の改善
スピルリナ
スピルリナは、アルカリ性の淡水で繁殖する藻類の一種で、タンパク質を約60~70%含み、必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。また、ビタミン、ミネラル、多糖類(食物繊維)、フィコシアニンなどを含んでいます。中でもカロテノイド系色素のβ-カロテン、ゼアキサンチンを多く含み、その抗酸化作用が注目されており、スーパーフード、健康食品として販売されています。同じ藻類のクロレラと比較し、β-カロテン前駆体含量が多く、セルロースの細胞壁がないため消化吸収性が良いのが特徴です。近年は、一般食品の天然由来着色料(スピルリナ青)としても数多く使用されています。
中国保健食品(レコード)における1日あたりの摂取目安量 : 3-4g
適用:免疫力が低下している方
不適用:子供。妊娠中及び授乳中の方。アレルギー体質の方。
機能性:免疫システムの改善
まとめ
今回の5つの新成分の追加はRecordと呼ばれる保健食品(通称オレンジハット)の区分に入りますが、残念ながら、国内製品のみが対象で、海外製品は従来通り保健食品(ブルーハット)として登録申請する必要があります。 しかしながら、2021年3月初めに、CFDA(中国国家食品薬品監督管理局)は栄養製品の剤形としてガムと粉末を承認しました。
また、中国で主に原料開発・製造されているNMNがここにきて価格が下落傾向になり、日本国内でも採用が増えてきました。中国でもNMNを配合した日本製サプリメント(一般食品)の需要が今後高まっていくものと思われます。
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